番外編 木造軸組工法 耐力壁の壁量および配置について

設計虎の巻!施工 虎の巻!

『施工 虎の巻!』では第七回・第八回と二回にわたり耐力壁の仕様等について確認してきました。次に、かし保険躯体検査の確認項目でもある「耐力壁の壁量および配置」の考え方について確認していきたいと思います。

耐力壁の計画については基本的に設計担当者が行うことですが、現場担当者にも是非知っていただきたい内容なので、番外編を設けることにしました。ざっくりと確認していきましょう。

耐力壁の壁量および配置について

耐力壁の計画にあたり、建物の高さや階数および延床面積が一定規模以上の場合、専門知識が必要になる構造計算によって安全性をチェックしますが、木造・階数2以下・延床面積500㎡以下等の建物は、構造計算は必須ではなく、建築基準法施行令に規定されている方法(「仕様規定」)で構造の安全性をチェックします。

「仕様規定」について

◎ 壁量計算…壁量の確保
◎ 四分割法・偏心率…耐力壁配置のバランス
◎ N値計算等…柱の柱頭・柱脚の接合方法

仕様規定には上記3つの簡易計算があります。計算の方法まで知らなくても、仕組みだけでもわかると現場の見方もかわってくるかもしれません。それぞれの概要について続けて確認していきましょう。

3つの簡易計算方法を確認する  その1

壁量計算について

壁量計算とは、存在壁量(計画されている建物に配置する耐力壁の量)が必要壁量(計画されている建物にかかる地震力・風圧力に抵抗するために必要な耐力壁の量)以上であることを確認する計算です。地震力には床面積、風圧力には2方向の見付面積に応じて必要な壁量が決まります。

存在壁量 ≧ 地震力・風圧力の必要壁量

壁量計算の手順

STEP1 必要壁量(地震力)を求める

地震力に対する必要壁量 = 各階の床面積 × 床面積に乗ずる数値(表1)

■ 表1 床面積に乗ずる数値(地震力の係数)

床面積に乗ずる数値(地震力の係数)

地震力は、建物自体を揺らすため、X方向・Y方向(東西・南北方向)どちらとも同じ値で考えます。また地震力は建物の重さ×重力加速度とも言えます。建物の重さ(固定荷重や積載荷重)を求めて一つ一つ計算することもできますが、計算が大変です。そこで荷重条件など精査し係数として導き出したのが表1の数値であり、簡単に計算できる仕組みにしたのです。

壁量計算での床面積の考え方

延べ床面積の計算の場合、ポーチ・吹き抜け・バルコニー・小屋裏収納(面積による)などは含みません。しかし壁量計算は地震力に対応させるため建物重量を考えて床面積を扱います。地震力に対する必要面積は床面積に比例する式になるので、大きい面積で計算した方が安全な計算になります。

STEP2 必要壁量(風圧力)を求める

風圧力に対する必要壁量 = 見付面積 × 見付面積に乗ずる数値(表2)

■ 表2 見付面積に乗ずる数値(風圧力の係数)

床面積に乗ずる数値(風圧力の係数)

風圧力に対する必要壁量は、強い風が建物を押そうとする力に抵抗する壁を示し、各階・各方向の見付面積(立面形状)に比例します。風圧力は、X方向・Y方向(東西・南北方向)で見付面積が異なることから、それぞれの方向で計算します。

■ 見付面積の考え方

見付面積:建築基準法(施行令第46条第4項)で定められた、
建物が風を受ける面積のこと

1階見付面積:1階床から1.35m以上の部分の面積(斜線箇所)
2階見付面積:2階床から1.35m以上の部分の面積(斜線箇所)
平屋建の見付面積
2階建で、1階部分の軸組長さを求める場合の見付面積
2階建で、2階部分の軸組長さを求める場合の見付面積

見付面積は、床から1.35m以上の部分の面積と規定されています。これは法律が規定された時期の階高2.7mを根拠に、床から1.35mまでの見付面積で負担する風圧力は、力壁に伝わらず柱や間柱を通して下階や土台に伝わるという考えからです。計算の趣旨としては耐力壁の必要壁量を求めているので、伝わらない部分は含めないということです。

STEP3 存在壁量を求める

存在壁量 =(耐力壁の壁倍率 × 耐力壁の長さ)の合計

存在壁量とは、各階・各方向の設計壁量(それぞれ指定の壁倍率に耐力壁の長さを掛けた値)を合計したものです。得られた数値が何mに相当するか長さに換算したもので単位はm(メートル)です。

■ 存在壁量計算の考え方と計算例

存在壁量計算の考え方と計算例
存在壁量計算の考え方と計算例
事例協力:木構造振興株式会社 木の家づくりセミナーweb版

筋かい等の壁倍率についてはこちらを再確認してください。

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STEP4 存在壁量≧必要壁量の確認をする

STEP1~STEP3で求めた数値を各階・各方向で表にまとめ、存在壁量≧必要壁量であるかを確認します。2階建てであれば下表のようにまとまります。得られた存在壁量が各階・各方向で地震力・風圧力ともに必要壁量以上であれば、建築基準法施行令第46条において全ての方向の水平力に対して安全であると言えます。

STEP1~STEP3で求めた数値と各階・各方向の一覧表

こちらで具体的な壁量計算のケーススタディが確認できます。参考にしてください。

木構造振興株式会社 木の家づくりセミナーweb版